高千穂スローライフvol.4「伝統の結び目が紡ぐ、神々と生きる町」
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山々に囲まれた自然豊かな高千穂町。
その豊かな自然と共に生きる人々が紡いできた暮らしは、まさにスローライフそのもの。
自然と調和し、ゆったりとした時間の中で丁寧に暮らす。そんな高千穂町の暮らしから、今回は「しめ縄」を紹介します。
しめ縄発祥の地・高千穂町
しめ縄の歴史は、高千穂町の天岩戸神社に祀られる「天岩戸(アマノイワト)」からはじまります。
天岩戸に太陽神である天照大神(アマテラスオオミカミ)が閉じこもり、世の中が真っ暗になってしまいましたが、困った神々が協力してを天岩戸から引き出し、世の中に光が戻ります。
この時、再び天岩戸に天照大神が閉じこもることがないようにと、岩戸の入り口に縄を張ったのがしめ縄のはじまりといわれています。
お正月になると、神社や神棚だけでなく、家や会社の玄関などでも見かけるしめ縄。
しめ縄には神様のいる神域と日常の空間を隔てる「結界」の意味があり、しめ飾りがある家は「年神様をお迎えする準備ができましたよ」という目印なのです。
高千穂町では、お正月だけでなく一年中しめ縄を飾る風習があります。
毎年、年末になると一年間の無病息災に感謝して、年神様を迎えるために新しいしめ縄に掛け替えます。無病息災と五穀豊穣を願い、先祖の霊をお祀りする意味もあるんですよ。
高千穂の注連縄(=しめなわ・標縄・七五三縄とも書くようです)には特徴があり、右から7本、5本、3本の標(藁茎)がさがっています。これは高千穂の神楽の祭場や舞いの由来を述べる唱教に由来し「七は天神七代、五は地神五代、三は御祖(みおや)の神(日向三代)」を表しており、標一本が一柱の神を意味しているとの事だそうです。
丹精込めて編む「高千穂町のしめ縄名人」を訪ねて
高千穂町には「しめ縄名人」と呼ばれる人がいます。
祖母山の麓・高千穂町五ケ所でしめ縄を作る武田計助さんに、しめ縄づくりの様子を見せてもらいました。
しめ縄づくりに使うのは、高千穂町の棚田でしめ縄用に特別に育てられた稲穂です。
藁を一本一本確認し、虫がついているものや、実がついているものを外していきます。
選別した後は、長さを揃えていきます。
一つのしめ縄を作るために、二束に分けます。左右が同じ太さになるように分けるのは、武田さんの手の感覚なんですって。
二つの束を、しめ縄の中心になる部分で結びます。この時も定規などは使わず、武田さんの感覚で。何気なく作業されているのですが、こういう一つ一つの作業が、経験がなせる職人技です!
藁の根元を今度は三つに分けていきます。
三つに分けた根本は、固く縛ることで穂を綯う(なう)ときの芯になるのです。
作った芯に、穂先の部分をきつく巻き付けながらねじっていきます。
ねじり上げた一本を器用に足で固定しながら、同じようにもう一本作っていきます。
出来上がった二本を、手のひらで強くすり合わせながらでねじっていきます。簡単そうに見えるけれど、実はコツが必要ですごく難しいんです。
もう一つ残った穂先を、ねじり上げたものに巻き付けていきます。反対側も同じように同じように作って、本体の出来上がり。
綯い上げた後は、飛び出している部分を丁寧にカットします。本当に細かい手作業の連続です。
本体につける「房」も一つ一つ手作りします。
藁の根元を使い丁寧に折っていきます。
綯いあげたしめ縄の本体と房。出来上がるまでもう一息!
しめ縄についている紙垂(しで)は白が一般的ですが、高千穂町のしめ縄の紙垂は緑と赤の二色。
赤は火の神様と大地を、緑は水の神様と天上界を表しているんですって。
飾りをつけたら完成!
最初から最後まで、手作業で丁寧に作られたしめ縄。
大変じゃないですか?とお尋ねたしら・・・
「飾ってくれる人や家のことを考えながら作るのは楽しいよ」と武田さんは笑顔で答えてくれました。
おわりに
高千穂町の「しめ縄」について紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
高千穂町の棚田と神話、そして自然と歴史と共に生きる人々によって紡がれるしめ縄は、お正月を迎える年の瀬になると、高千穂町の道の駅や物産館で販売されますよ。
また、毎年冬至には、しめ縄発祥の地である天岩戸のしめ縄を張り替える「注連縄張神事」が行われます。
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